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翻訳家になるには

翻訳家の年収はどれくらい?収入に差が出る理由と考え方を解説

アアチェロ編集部読了目安 約13分
原稿の束とコインを載せた天秤と卓上カレンダー
目次
  1. 01翻訳家の年収は、平均額だけでは判断できない
  2. 02翻訳だけで生活できるかは、働き方と継続案件で変わる
  3. 03翻訳家の収入に差が出る理由
  4. 04翻訳分野ごとの収入の考え方
  5. 05出版翻訳・絵本翻訳の収入で注意したいこと
  6. 06翻訳家の年収を調べるときの注意点
  7. 07参考情報・注釈
  8. 08まとめ:翻訳家の年収は、働き方・分野・契約条件で変わる

翻訳家の年収は、平均額だけでは判断できません。どの働き方で、どの分野の仕事を、どれくらい継続して受けられるかで見るほうが、実際の収入に近い姿をつかめます。

翻訳家を目指すとき、多くの人が気にするのは、実際にどれくらいの収入になるのかという点です。語学力を活かせる仕事に魅力を感じても、翻訳だけで生活できるのか、副業として始められるのか、将来は専業にできるのかは、外からは見えにくいものです。

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag(ジョブタグ)」には、翻訳者に対応する職業情報が掲載されています。ただし、そこにある賃金情報を、翻訳者だけの平均年収として単純に受け取らないことが大切です。会社員、フリーランス、副業、出版翻訳、産業翻訳などでは、収入の仕組みが異なるためです。

この記事では、翻訳家の年収を見るときの前提を整理したうえで、会社員・フリーランス・副業の違い、分野ごとの報酬の考え方、収入に差が出る理由を解説します。

翻訳家の年収は、平均額だけでは判断できない

翻訳家の年収は、平均額だけを見ても、自分の収入を判断することはできません。

年収を調べると、平均額や相場の数字が出てきます。数字は参考になりますが、自分に当てはめる前に確かめておきたいことがあります。どの働き方の数字なのか、どの分野の翻訳なのか、会社員を含むのか、フリーランスや副業の実態まで反映しているのか、という点です。

知りたいのは平均額そのものより、自分が目指す働き方で現実に収入になるのかどうかでしょう。ここを分けずに読むと、会社員の統計、翻訳会社への発注価格、フリーランスの受取額、出版翻訳の印税を同じものとして見てしまいます。

公的統計の年収は参考値として見る

公的統計の年収は、翻訳家の収入を考えるうえで参考になります。

ただし、job tag の賃金情報は、翻訳者だけを対象にした数字とは限りません。会社員として働く翻訳者のほか、翻訳に近い業務を含む職種や、企業内で多言語業務を担う人などが含まれる可能性があります。

そのため、公的統計は翻訳に関わる職業のひとつの参考値として見るのが適切です。フリーランスや副業の場合は、案件数、単価、稼働時間、経費、継続案件の有無によって収入が大きく変わります。

翻訳料金の目安と翻訳者本人の収入は分けて考える

翻訳料金の目安と翻訳者本人の収入は、分けて考える必要があります。

日本翻訳連盟は、クライアント企業が翻訳会社へ初めて翻訳を依頼する場合の翻訳料金の目安を公表しています。これは翻訳会社への発注価格の目安で、翻訳者本人の受取額とは限りません。

翻訳会社を通す場合、発注価格には翻訳者への報酬だけでなく、品質管理、進行管理、チェック、営業、事務管理などの費用も含まれます。公開されている発注価格をそのまま自分の収入として計算すると、実態からずれることがあります。

年収を考えるときは、発注価格、翻訳者の受取額、作業時間、修正対応、継続案件の有無を分けて見ることが大切です。

会社員・フリーランス・副業で収入の見え方が変わる

翻訳家の収入は、会社員・フリーランス・副業のどれかによって見え方が変わります。

会社員・フリーランス・副業それぞれの収入の見え方の違いを3つの列で比べた図

会社員は給与として毎月の収入を見通しやすい一方、翻訳以外の業務も担当することがあります。フリーランスの収入は、案件数、単価、継続依頼の有無によって変動するのが特徴です。副業は本業との兼ね合いがあるため、受けられる案件の量に限りがあります。

同じ翻訳家でも、収入の安定性、増やし方、リスクはそれぞれ違います。年収を考えるなら、まず自分がどの働き方を目指すのかを分けて見る必要があります。

翻訳だけで生活できるかは、働き方と継続案件で変わる

翻訳だけで生活できるかどうかは、働き方、専門分野、継続案件の有無によって変わります。

会社員として翻訳に関わる場合は、給与収入として安定しやすい面があります。フリーランスの場合、収入を左右するのは案件数や継続依頼の有無です。副業で始める場合は、最初から生活費の柱にするより、経験や実績づくりから入るケースが多くなります。

翻訳だけで生活できるかという問いに、ひとつの答えはありません。自分がどの働き方を目指すのか、どの分野で仕事を受けたいのか、どの程度の時間を確保できるのかを分けて考えることが大切です。

安定を重視するなら会社員という選択肢がある

安定した収入を重視するなら、会社員や契約社員として翻訳に関わる働き方があります。

会社員であれば毎月の給与として収入を得られるため、フリーランスより収入の見通しを立てやすくなります。その一方で、翻訳だけをしているとは限りません。

訳文の確認、用語管理、進行管理、依頼主とのやり取り、校正、社内文書の作成などを担当することもあります。

翻訳だけを専門にする仕事というより、言語力を活かして翻訳関連の業務に関わる働き方と考えると分かりやすいでしょう。

フリーランスは継続して依頼される状態を作れるかが大きい

フリーランスとして生活していくには、継続案件を作れるかどうかが大きく影響します。

継続案件とは、同じ依頼主から繰り返し受ける仕事のことです。単発案件だけを受け続けると、毎回新しい仕事を探さなければなりません。翻訳会社、出版社、企業などから続けて案件を受けられるようになれば、収入の見通しを立てやすくなります。

継続して依頼されるかどうかは、訳文の質に加えて、納期、修正対応、連絡の早さ、指示の理解でも判断されます。

副業は収入より経験づくりから始まることが多い

副業の翻訳では、最初から大きな収入を前提にしないほうが現実的です。

本業の合間に作業する場合、受けられる案件の量には限りがあります。未経験の段階では、試訳やポートフォリオを整えたり、小さな案件で実務の流れを学んだりする時間も必要です。

副業の翻訳は、すぐに生活費の柱にするというより、自分の語学力や日本語力が仕事として通用するかを確かめる入口になりやすい働き方です。副業としての始め方や注意点は、翻訳の副業の記事で詳しく解説しています。

翻訳で生活できるかを考えるには、働き方に加えて、なぜ収入に差が出るのかも知っておく必要があります。

翻訳家の収入に差が出る理由

翻訳家の収入に差が出るのは、分野、専門性、稼働時間、案件の継続性が人によって異なるためです。

分野・専門性・作業時間と修正対応・案件の継続性という、翻訳家の収入に差が出る要素の図

翻訳は、同じ時間働けば同じ収入になる仕事ではありません。どの分野の文章を扱うのか、どの程度の専門知識が必要なのか、作業にどれだけ時間がかかるのかによって、収入は変わります。

平均額だけでは見えない部分を理解しておくと、自分に合う分野や働き方を選びやすくなります。

翻訳分野によって求められる力が違う

翻訳家の収入は、どの分野の翻訳を行うかによって変わります。

産業翻訳では、契約書、医療文書、IT資料、技術マニュアルなど、専門性の高い文書を扱うことがあります。映像翻訳では、字幕や吹き替え台本のように、映像に合わせた表現力が必要です。出版翻訳では、一冊の本として読める日本語に整える力が求められます。

分野が変われば、報酬の決まり方も、求められる技術も変わります。

専門性によって依頼される仕事が変わる

翻訳家の収入には、専門性が大きく関わります。

医療、法務、金融、IT、特許、学術、出版など、専門知識が必要な分野では、内容の正確な理解と用語の使い分けが求められます。語学ができるだけでは対応しにくく、背景知識や調査力も必要です。

専門性があれば、発注者は「この分野なら任せられる」と判断しやすくなります。収入を安定させたい場合は、自分の得意分野を持つことが、継続依頼につながる判断材料になります。

作業時間と修正対応まで含めて収入を見る必要がある

翻訳家の収入は、作業時間と修正対応まで含めて見る必要があります。

翻訳は、原文を読んで日本語に置き換えれば終わる仕事ではありません。専門用語の確認、事実関係の調査、表記の統一、読み直し、推敲、修正対応も必要です。

単価が高く見える案件でも、調査や修正に時間がかかれば、作業時間あたりの収入は下がります。年収を考えるときは、金額に加えて、その仕事にどれだけの時間と責任が伴うのかを見ることが大切です。

ここまで見ると、翻訳家の年収は平均だけでは判断しにくいことが分かります。続いて、分野ごとの収入の考え方を整理します。

翻訳分野ごとの収入の考え方

翻訳分野ごとに、収入の仕組みや仕事の取り方は異なります。

翻訳家の年収を考えるときは、産業翻訳、映像翻訳、出版翻訳、絵本翻訳をひとまとめにしないことが大切です。発注元、納期、報酬の決まり方、求められる力が、分野ごとに違います。

産業翻訳

産業翻訳とは、企業や団体が仕事で使う文書を翻訳する分野です。

契約書、マニュアル、医療文書、IT資料、金融資料、ビジネス文書などを扱います。報酬は、文字数、ワード数、ページ数、案件単位などで決まることがあります。

産業翻訳で重視されるのは、正確さ、専門用語の理解、用語の統一、納期への対応です。翻訳会社に登録し、条件や分野が合う案件を受ける形もあります。

公開されている翻訳料金の目安を見るときは、それが翻訳会社への発注価格なのか、翻訳者本人の受取額なのかを分けて確認する必要があります。

映像翻訳

映像翻訳とは、映画、ドラマ、動画、企業PR動画、教材動画などの字幕や吹き替え台本を作る分野です。

字幕では、視聴者が短い時間で読めるよう、限られた文字数の中で意味をまとめます。吹き替え台本では、登場人物の口調や感情、会話の流れに合った日本語にすることが重要です。

収入は、作品の種類、発注元、作業量、納期、実績によって変わります。語学力に加えて、字幕や吹き替えのルールに沿って日本語を整える力が必要です。

出版翻訳

出版翻訳とは、小説、ノンフィクション、ビジネス書、児童書などを日本語に訳し、一冊の本として読者に届ける分野です。

出版翻訳の報酬は、原稿料、印税、買い切りなど、契約条件によって変わります。原稿料は、原稿の作成に対して支払われる報酬です。印税は、本の定価、発行部数、販売数などをもとに支払われる報酬です。買い切りは、一定額を支払い、その後の販売数に応じた追加報酬が発生しない契約形態を指します。

出版翻訳の仕事は、数が安定して多いとは限りません。一冊の翻訳には時間がかかり、企画が通るまでにも時間がかかる場合があります。

絵本翻訳

絵本翻訳とは、海外の絵本を日本語に訳し、翻訳絵本として読者に届ける分野です。

絵本翻訳は、文字数だけでは報酬を測りにくい分野です。短い文章でも、原文の理解、日本語の表現、読み聞かせ、ページ構成、編集者との確認に時間がかかることがあります。

報酬は契約条件によって異なります。原稿料、印税、買い切りなどの形があり、絵本翻訳ならいくら、と一律には言えません。

絵本翻訳を目指す場合は、収入と、翻訳絵本として名前が残る実績を分けて考えることが大切です。絵本翻訳の仕事内容は、絵本翻訳家の記事で扱っています。

出版翻訳・絵本翻訳の収入で注意したいこと

出版翻訳や絵本翻訳の収入は、印税や訳書実績だけで単純に判断しないことが大切です。

本に関わる仕事は、完成すると形として残るため、実績として説明しやすい面があります。一方で、収入の安定性や継続性は、契約条件や次の仕事の有無によって変わります。

印税だけで考えない

出版翻訳や絵本翻訳では、印税という言葉がよく出てきます。

印税は、出版翻訳の報酬形態のひとつです。ただし、すべての案件が印税制とは限りません。原稿料や買い切りで支払われる場合もあります。

印税制であっても、実際の収入は本の定価、部数、販売状況、契約条件によって変わります。出版翻訳イコール印税収入と単純に考えるのは適切ではありません。

訳書実績は収入保証ではない

訳書実績は次の仕事を探す際の材料にはなりますが、収入を保証するものではありません。

奥付や書誌情報に翻訳者名が載ると、その本に関わった事実を説明しやすくなります。とはいえ、訳書が一冊あるだけで、その後の仕事が自動的に入ってくるわけではありません。

訳書実績は、翻訳者としての経験を説明するための材料として考えるのが適切です。

本として残る実績と収入は分けて考える

出版翻訳や絵本翻訳では、本として残る実績と収入を分けて考える必要があります。

翻訳絵本や訳書として名前が残れば、翻訳に関わった事実を説明する材料になります。ただ、それがすぐに安定した収入につながるとは限りません。本を作って残す仕組みについては、自費出版とはの記事で解説しています。

短期的な収入を重視するのか、長期的な実績づくりを重視するのかによって、選ぶ仕事も変わります。

翻訳家の年収を調べるときの注意点

翻訳家の年収を調べるときは、平均年収や高収入の事例だけで判断しないことが大切です。

翻訳家の働き方は、人によって大きく異なります。会社員、フリーランス、副業では、収入の仕組みも仕事の取り方も違います。

平均年収だけで判断しない

平均年収は参考になりますが、働き方や分野が違えば収入の仕組みも変わります。

公的な統計データには、翻訳者が含まれる職業分類に対応した年収情報があります。ただし、その統計は必ずしも翻訳者だけを表すものではありません。

会社員、フリーランス、副業のどれを目指すのか。産業翻訳、映像翻訳、出版翻訳、絵本翻訳のどれに進みたいのか。平均額を見るときは、その数字が自分の目指す働き方に近いかを確認しておきましょう。

「高収入」「簡単に稼げる」という情報に注意する

翻訳家の年収を調べていると、「未経験でも高収入」「簡単に稼げる」といった表現を目にすることがあります。こうした情報には注意が必要です。

翻訳の仕事には、語学力に加えて、日本語力、専門分野の知識、調査力、納期への対応、修正対応が求められます。特に未経験の段階では、すぐに高い収入を得られるとは限りません。語学資格や検定の位置づけは、翻訳家の資格の記事でまとめています。

年収を考えるときは、あおり文句に惑わされず、どの分野で、どのような仕事を、どれくらいの時間で行うのかを見る必要があります。

自分の目的に合う働き方を考える

翻訳家の年収を考えるときは、自分の目的に合う働き方を考えることが大切です。

安定した収入を重視するなら、会社員や契約社員として翻訳に関わる道があります。自由に案件を選びたいなら、フリーランスとして実績を積む道があります。本業を続けながら試したいなら、副業から始めるのもひとつの方法です。翻訳家になるための準備の全体像は、翻訳家になるにはの記事で整理しています。

出版翻訳や絵本翻訳を目指す場合は、収入のほかに、訳書実績や企画提案の経験も意味を持つことがあります。ただし、実績と収入は同じではありません。

年収を考えるときは、まず自分が何を優先したいのかを決めておく必要があります。

参考情報・注釈

  • 厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag(ジョブタグ)」。job tag は、職業ごとに仕事の内容、就労する方法、求められる知識・スキルなどを総合的に確認できるサイトです。翻訳者のページでは、翻訳の仕事が出版翻訳と産業翻訳に分けられることなどが説明されています。賃金情報を見る場合は、翻訳者のみの平均年収と断定せず、参考値として確認する必要があります。
  • 日本翻訳連盟「翻訳料金の目安」。日本翻訳連盟は、クライアント企業が翻訳会社へ初めて翻訳を依頼する場合の翻訳発注価格の目安を公表しています。これは翻訳会社への発注価格の目安であり、翻訳者本人の受取額や年収を直接示すものではありません。
  • 出版翻訳・絵本翻訳の報酬について。出版翻訳・絵本翻訳の報酬は、原稿料、印税、買い切りなど契約条件によって異なります。印税率や原稿料は一律ではないため、具体的な金額や支払い条件は案件ごとに確認する必要があります。

まとめ:翻訳家の年収は、働き方・分野・契約条件で変わる

翻訳家の年収は、平均額だけで判断できるものではありません。会社員、フリーランス、副業のどの働き方を選ぶか、産業翻訳、映像翻訳、出版翻訳、絵本翻訳のどの分野に進むかによって、収入の仕組みは変わります。

公的統計や料金表は参考になりますが、それだけで自分の年収を計算することはできません。統計の対象、発注価格と受取額の違い、作業時間、修正対応、継続案件の有無まで分けて見る必要があります。

出版翻訳や絵本翻訳では、収入に加えて、本として残る実績にも意味があります。ただし、訳書実績は次の仕事を探す際の材料で、仕事や収入を保証するものではありません。

翻訳家の年収を考えるときに大切なのは、自分がどの働き方を選び、どの分野で経験を積み、どのような契約条件で仕事を受けるのかを整理することです。

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